K%(ローン定数)で融資条件を総合的に評価する
不動産投資はローンを活用して投資することが多くなりますが、ローンの健全性を示す指標にK%(ローン定数)があります。
ローンを活用する上ではK%とCCRを組み合わせたりして分析をすることになりますので、ローンを組んで投資する人は意味や計算方法、分析方法については押さえておきましょう。
K%の意味
- K%(ローン定数)は借入金額に対する年間返済金額の割合を示した指標
- 金利だけでなく、返済期間も含めた融資条件を総合的に評価することができる
K%は融資条件を総合的に評価できる指標
K%(ローン定数)とはローンコンスタントとも呼ばれ、ローン残高に対する年間返済金額の割合を示した指標です。
ぱっと聞くと何を意味している指標かわかりづらいですが、借入金額に対して年間いくらの返済が発生するかわかるので、資金調達のために年間どれくらいのコストが必要か、つまり調達コスト(%)を測ることができます。
ローン定数は金利が上がると高くなり、下がると低くなります。また元本の返済も指標に関係するので、返済期間が長くなり年間の返済額が減ると、ローン定数も低くなります。
一般的にローンは金利で高いとか安いと評価することになりますが、返済をする際には金利だけでなく元本も返済することになり、キャッシュフローに大きな影響を及ぼします。
元本返済を含む年間の総返済額が、ローン残高に対してどれくらいの割合になるか把握することで、金利だけでなく返済期間も含めた融資条件全体を総合的に比較することができます。また調達コストを数値化することで借入によるレバレッジが正に働いているか負に働いているかも評価することができます。
なお、金融機関もローン定数を返済の健全性や自分たちが貸しつけたお金の何%が戻ってくるかという点を評価することができるので、融資審査の際の参考指標の一つといわれており、金融機関の目線でローンを評価するという意味でもチェックしておいた方が良い指標です。
K%の計算方法
K%の計算方法
K%は「年間返済額÷ローン残高」により算出することができます。
- K%=年間返済額÷ローン残高×100
計算自体はとてもシンプルですね。K%はパーセント表記をすることになり、高いほど残高に対して年間の返済割合が高く、低いほど返済割合は少ないということになります。
ローン残高2,000万円で年返済額が100万円の融資であれば、ローン定数は5%となります。
ローンを評価する場合には金利が高い低いで論じられますが、これは利益ベースの考え方といえます。K%は元本の返済も含めた年間返済額がローン残高のどれくらいの割合となるのかを見ており、キャッシュフローベースの考え方になります。
利益だけなら金利だけを考えれば良いですが、キャッシュフローを考える上では利益には影響のない元本の返済をどのようにしていくかも含めて考えなければならず、その点をK%を使って評価します。
ローン定数は金利と返済期間によって決まります。ローン定数が低いほど調達コストが低いことになり、その分キャッシュフローが向上します。不動産投資ではキャッシュフローを貯めて次の物件に投資することでさらにキャッシュフローを増やすことができ、帳簿上の利益以上にキャッシュフローを優先します。
そのためキャッシュフローを重視する投資家はローン定数を金利以上に重要視します。
K%の分析方法
- まずはキャッシュフローがプラスになっているか
- ローン定数でレバレッジがマイナスになっていないかチェックする
まずはキャッシュフローがプラスになっているかチェック
ローン定数を使った分析の前にまず行うのが、キャッシュフローがプラスになっているかどうかです。
経費や空室による損失を差し引いた収入で見た利益(NOI)がローン返済額を上回っているか、つまりキャッシュフローがプラスになるかどうかをまずチェックします。
キャッシュフローがマイナスになると持ち出しとなり、自分の金融資産が減ることになってしまいますので、なにはともあれキャッシュフローはプラスであることは大前提です。
レバレッジがプラスに働いているかマイナスに働いているか
キャッシュフローがプラスであれば、次にレバレッジがプラスに働いているかマイナスに働いているかの分析を行います。
実質的な投資のパフォーマンスであるNOI利回りが調達コストであるk%を上回っているかどうかで、上回っている場合はレバレッジが正常に働いており「ポジティブレバレッジ」といえ、逆に調達コストがNOI利回りを上回ってしまっている場合はレバレッジが逆に働いている「ネガティブレバレッジ」の状態であるといえます。
ポジティブレバレッジは「順レバ」、ネガティブレバレッジは「逆レバ」とも呼ばれます。
ローン定数の計算例
仮にNOIが450万円、物件価格が6,000万円、NOI利回りが7.5%の物件があったとします。この物件を5,000万円の融資を受けて購入する場合、2つの金融機関から以下の2つの条件のどちらかで受けられるならどちらの融資の方が有利になるでしょうか。
年返済額はともにNOIを下回りますので、どちらのローンを選んでもキャッシュフローがマイナスになることはありません。そのため一見すると金利が低いローンAの方が有利に見えますが、ローン定数を計算すると以下のようになります。
ローンAは8.29%、ローンBは6.01%となり、ローン定数が低いローンBの方が有利という結論になります。
特にローンAのローン定数(8.29%)はNOI利回り(7.5%)を下回り、8.29%で調達をして7.5%で運用していることになりキャッシュフロー上の利回りはマイナスで、ネガティブレバレッジの状態になってしまいます。
キャッシュフローは金利より大事
そうはいっても総返済金額のことを考えると金利は低い方が良いという人も多くいると思いますが、年返済額の違いからローンAとローンBではキャッシュフローに年間約100万円の差が生まれます。
5年が経過すると500万円も手持ちのキャッシュに差がつくことになります。これだけキャッシュフローがあればその金額で次の物件を購入できますし、もしもの時の現金資産としても有効になります。得たキャッシュフローを運用することもできますし、金利については後からディスカウントの交渉もでき最終的には借り換えも検討可能です。
当面の資金繰りを確保する、次の物件を購入する原資を準備するという点でキャッシュフローは金利よりも重要になり、ローン定数により融資条件の有利不利を評価することが有効になるのです。
金利だけでなく期間も重要になる
ローン定数は金利と期間によって決まりますので、これら2つの条件をどう組み合わせるかでローンの評価、ひいては不動産投資の成否が決まります。実際に計算するとわかりますが借入金額はローン定数に無関係です。
参考までに金利と返済期間によるローン定数(元利均等方式の場合)を以下に記載しますので、期間と金利が変わるとどのようにロー定数が変化するか見ていただければと思います。
■金利と返済期間の変化によるローン定数の変化
金利/期間 | 15年 | 20年 | 25年 | 30年 |
---|---|---|---|---|
2.00% | 7.72% | 6.07% | 5.09% | 4.44% |
2.50% | 8.00% | 6.36% | 5.38% | 4.74% |
3.00% | 8.29% | 6.66% | 5.69% | 5.06% |
3.50% | 8.58% | 6.96% | 6.01% | 5.39% |
4.00% | 8.88% | 7.27% | 6.33% | 5.73% |
4.50% | 9.18% | 7.59% | 6.67% | 6.08% |
5.00% | 9.49% | 7.92% | 7.02% | 6.44% |
5.50% | 9.81% | 8.25% | 7.37% | 6.80% |
6.00% | 10.13% | 8.60% | 7.73% | 7.19% |
不動産投資で融資を受ける時には金利はなるべく低く、期間はなるべく長く引くものとして、どちらかといえば期間を優先させてローン条件の交渉をしていくと良いと思います。
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