不動産投資における投資物件の分析と指標

公開日:2015年5月12日 最終更新日: 2016年1月3日
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不動産投資は投資である以上、収益不動産を購入する時には「なんとなく」ではなく、数字で分析し投資判断をする必要があります。

不動産投資における分析のための指標としては「表面利回り」「実質利回り」「ROI」などが一般的ですが、ほかにも様々な指標がありますので、本記事で紹介したいと思います。

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投資、物件の収益性を表す利回りとROI

不動産投資では数多くの物件を見て、投資すべきかどうかの判断をすることになります。

投資である以上、株式投資と同じく、収益性や安全性など複数の視点から投資判断をすることが必要になるため、各指標が何を意味していてどのように分析をするのかを理解しておく必要があります。

不動産投資における最もポピュラーな指標には利回りがあります。

利回りには単純に物件価格に対する家賃収入の割合を示す「表面利回り」と、購入や貸す時にかかる諸経費を考慮した収益から利回りを計算した「実質利回り」があります。

  • 表面利回り(%):年間の家賃収入÷物件価格×100
  • 実質利回り(%):(家賃収入-諸経費)÷(物件価格+購入時経費)×100

利回りの指標を使えば、投下した資本に対してどれくらいの利益が出るのかを判断することができます。

たとえば2,000万円の物件で表面利回り10%だと200万円の家賃収入があり、諸経費が毎年40万円かかると実質利回り8%の物件ということになります。

不動産の広告に記載されている利回りは表面利回りですので、実質的な収益性は諸経費を見込んで実質利回りとして算出する必要があります。

利回りは投資全体のパフォーマンスを測ることができるので、最も一般的な指標となっています。

ROIは投下した自己資本に対して年間キャッシュフローがどれだけ得られたかを示す指標です。

利回りと同様に収益性を表していますが、ROIは投下した資本を「自己資金」、得られたお金を手元に残る「キャッシュフロー」で見ています。

より厳密に投資としての投資対効果を図る指標であるといえます。


収益性を示すその他の指標

  • NOI:家賃収入から諸経費、空室による損失を差し引いた正味利益
  • CCR:自己資金に対する得たキャッシュフローの割合

利回りやROI以外にも収益性を表す指標があります。

収益性を示すその他の指標としてNOIやCCRという指標があります。

NOIとは純営業利益や正味利益のことで、家賃収入から空室による損失や諸経費を差し引くことで算出することができます。

■NOIの算出式

  • NOI(営業純利益)=満室賃料-空室による損失-諸経費
  • NOI利回り=NOI(営業純利益)÷物件価格

実質利回りに使用する収益と考え方が近いですが、空室による損失も見込んでいる点でより現実的な利益になります。

物件価格に占めるNOIの割合をNOI利回りといい、最近ではNOI利回りを投資の手法として利用している人も多くいるようです。

CCRとは、「Cash on Cash Return」の略で、投資した自己資金に対してどれだけのキャッシュフローがあるのかを意味しています。

年間のキャッシュフローを自己資金で割ることで算出することができます。

■CCRの算出式

  • CCR(%)=年間キャッシュフロー÷自己資金×100

CCRはROIと同じ意味で、一般的には「ROI=CCR」と考えられています。

不動産投資をする上で実質的な利益も重要ですが、手元にいくらお金が残るかを意味するキャッシュフローも重要です。

不動産投資を続けられるかどうかという意味でも、キャッシュフローを基としたROIやCCRは非常に重要な指標となります。


安全性を示す指標

  • LTV:総投資金額に対するローン金額の割合
  • DSCR:正味利益に対するローン返済額の割合

収益性以外にも投資の安全性を表す指標としてLTVやDSCRがあります。

LTVは「Loan To Value」の略で、総投資金額に対するローン金額の割合のことです。

■LTVの算出式

  • LTV(%)=ローン金額÷総投資金額×100

不動産投資はローンを組んで自己資金以上の金額で投資をすることが多いです。

自己資金以上の取引をすることで、利益を多く得ることができ、これをレバレッジ効果といいます。

レバレッジを効かせることで、自己資金に対する収益性を高めることができますが、一方で多くの借金をすることになり、収益が低下した場合の収益に与える悪影響も大きくなりますので、ローン割合が高いほどリスクが高まることにもなります。

安全性という意味ではローン割合が低いほど安全ということになりますので、LTVでローンの割合をチェックします。

ローン割合を示すLTVと逆の指標として、自己資金の割合を測る「自己資本比率」もあります。

DSCRは、「Debt Service Coverage Ratio」の略で正味利益に対するローン返済金額の割合で、ローン返済の安全性を見る指標です。

■DSCRの算出式

  • DSCR=NOI÷ローン返済額

返済金額に対して、利益がどれくらいカバーしているのかを示している指標で、ローン返済額を利益で賄える場合はDSCRは1以上となります。

家賃収入よりローン返済額が多い場合はDSCRは1未満となり、家賃収入ではローン返済がまかなえず自腹でローンを返済する必要があることを意味します。

物件を見たり、投資の判断をする際にはこれらの指標を参考にして、収益性や安全性を見つつ慎重に検討していく必要があります。

各指標の意味自体は難しいものではありませんので、各指標の意味を押さえて使いこなせるようにしたいですね。



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