物件取得方針の重要性と立て方
収益不動産を取得する流れとして、まず「どのような物件を取得するのか」取得方針を立てることになります。
多くの物件を見ることは不動産投資成功のためのポイントではありますが、やみくもに見ていてもなかなか自分が探している物件を見つけることはできないので、取得方針を立てることは非常に重要になります。
そこで本記事では物件の取得方針の立て方を紹介したいと思います。
物件の取得方針の立て方とポイント
インターネットで見ることができる収益不動産は無数にあり、価格・タイプともに様々な物件があります。
物件の情報を検索する場合、賃貸物件を探す時のように条件を指定して絞り込みをすることができますので、それにあわせて自分がどのような物件が欲しいのか大まかなイメージを決めておく必要があります。
取得方針を決めておいた方が良い物件の特徴には主に以下のものがあります。
■物件の取得方針のポイント
項目 | 内容 |
---|---|
所有形態 | 区分所有か、1棟ものか |
物件の広さ | 1部屋の面積(ワンルームかファミリータイプか) |
エリア | 物件のエリアはどのあたりにするか |
駅からの距離 | 駅からの距離は徒歩何分以内か |
物件の構造 | 木造かRCかなど |
築年数 | 物件の築年数はどれくらいにするか |
入居者 | オーナーチェンジ物件(入居者あり)か、空室の物件か |
価格 | どれくらいの価格帯の物件を狙うか |
利回り | 利回り(表面・実質)は何%必要か |
賃貸物件を選ぶ時の条件プラスアルファといった感じですが、結構な項目について決めていかないといけないことがわかります。
条件を絞りすぎるとそれだけ対象の物件が減ってしまいますので、所有形態、エリア、価格、目標の利回りは最低限決めておく必要がありますが、その他の項目については必ず設定していなければいけないというわけではありません。
区分所有か1棟ものか
区分所有のマンションは1部屋の購入になりますので、投資金額が少なく済むというメリットがあります。
1棟ものの物件を取得することができれば複数の部屋を所有することになるので、一部屋空室が出たとしても家賃収入がゼロになることはなく、空室リスクについて一定の効果があります。
また区分所有は権利関係が複雑になりますが、1棟ものの物件であればオーナーは自分一人となり、管理会社や修繕計画もすべて自分で決めることができます。
決めることは多くなりますが、自分で不動産投資をコントロールできるという点は大きなメリットです。
区分所有は権利関係が複雑な結果、土地の持ち分が少ない、建て替えが自由にできないなど制約が多く、結果的に融資が受けづらくなるというデメリットがあります。
そのため、不動産投資家にとっては一棟ものの投資がポピュラーであり、区分所有はベテラン投資家になるほど敬遠されます。
ただし、その分一棟ものは競争が激しく、好条件の一棟ものの物件はすぐに決まってしまいます。
逆に区分所有の物件は一棟物に比べると競争は激しくないので、好条件の物件に巡り合う可能性は高いというメリットもあります。
どちらの物件を狙うかは人それぞれですが、上述した区分所有と一棟ものの特徴をとらえて、どちらの物件を狙うのかを決めるようにしましょう。
■一棟もののメリット(区分所有のデメリット)
- 区分所有と比べて管理費、修繕費が割安にすむ(一棟ものは家賃の5-10%、区分所有20-30%)
- 土地の権利が強く担保力が高い
- 区分所有と比べて融資を受けやすい
- 自由に土地の処分をすることができる
- 建て替えを自由にすることができる
- 収益力が高い
- 1部屋空室が出ても家賃収入が安定する
■一棟もののデメリット(区分所有のメリット)
- 投資金額が大きくなる
- 一つの建物なので、地震、事件などのリスクを分散できない
- すでに入居者がいる場合、入居者を選ぶことができない
オーナーチェンジか空室物件か
入居者がいる状態で売りにだされている物件を「オーナーチェンジ物件」といいます。
入居者がいることで購入した時点から家賃収入が発生して、賃貸づけをする必要がありません。
一方、売りに出されている時点で空室の物件は、賃貸づけを自分でする必要があり、入居者が入らないと家賃収入も得られないことになりますが、自分で入居者を選ぶことができ、家賃設定も自分でできるので、中長期的に見るとトラブルが少なくなりメリットが大きくなることもあります。
また一般的にオーナーチェンジ物件の方が人気が高いので、競争になり良い物件はすぐになくなってしまいます。当然オーナーも強気ですので割安な物件が出づらいというデメリットもあります。
これもどちらが良いということはありませんので、それぞれの特徴を理解して自分が好む方の物件を狙うようにしましょう。
■オーナーチェンジ物件のメリット(空室物件のデメリット)
- 購入後、すぐに家賃収入を得られる
- 賃貸づけをする必要がない
■オーナーチェンジ物件のデメリット(空室物件のメリット)
- 競争が激しい
- 入居者を選べない
- 家賃を自分で設定できない
- リフォームによるバリューアップがすぐにはできない
ワンルームかファミリータイプか
物件一部屋の間取りや広さもどのような物件を狙うか決めておく必要があります。
大きく分類すると一人暮らし用のワンルームや1kの間取りか、2LDK以上や一戸建てのファミリータイプがあります。
同じ土地に新たに建てる場合、土地に対して多くの部屋を作ることができ、1部屋ごとの家賃は安くても合計すると多くの家賃収入を得ることができるのでワンルームタイプが主流です。
ファミリータイプの部屋の広さが2倍あったとしても家賃が2倍になるわけではないので、収益性、効率性を考えるとワンルームの方が有利なことがわかると思います。
またワンルームはリフォーム代金が安く済み、入居者が入れ替わる時の費用が安い点も不動産投資家にワンルームが重宝されてきた理由の一つです。
ただし、最近ではワンルームマンションやアパートは供給過多となっており、家賃を安くしないと人が入ってくれず、特に地方では空室が多く発生しています。
このようにワンルームの収益性が低くなっているという状況の中、ファミリータイプの物件が見直されています。
もちろんファミリータイプだからと言って空室が発生しないわけではないので、物件の条件や家賃設定をきちんとする必要があります。
そのためにも人口の動態や空室率は徹底的に調査する必要があります。
地域の空室率や家賃相場を調査した上で、収益を出しやすい間取りを狙っていくのが良いと思います。
また物件によって収益性は異なりますので、必ずどちらかに狙い撃ちをする必要もありません。部屋の間取りについてはどちらでもというスタンスで探しても良いと思います。
駅からの距離は
駅からの距離やエリアも重要です。
駅からの距離は近いほど便利ですので良いですが、その分物件の価格も高くなってしまいますので、むやみやたらと駅近を狙わず自分がターゲットにしている人のニーズに合わせて選択するのが現実的です。
都心に住む一人暮らしの会社員の人がターゲットであれば電車通勤が前提となりますので駅は近いほど良いですが、郊外や車を利用することが前提の人がターゲットであれば駅への距離はそこまで問われないことが多いです。
近くに駐車場があり、物件の設備や周辺環境を重視することも多いので、駅から徒歩20分くらいの場所の物件でも十分入居者は入ります。
ターゲットになる人にあわせた駅からの距離の物件を選ぶようにしましょう。
またエリアも重要です。
人口がある程度あって賃貸需要があるエリアであることも重要ですが、土地勘がある場所を選ぶことも重要です。
エリアの中でもどのような特徴があるのか、実は住みやすい場所なのか、起伏などによって表示以上の駅徒歩がかかる場所なのかなどなど、図面や販売資料の情報以外で重要な情報は山ほどあります。
ですので初心者は住んだことのある場所、勤務先の近くなど土地勘のある場所を選択するのが無難でしょう。
利回りは何%を目指すか
不動産投資は投資活動である以上、どれくらいの利回りの物件を狙うのかは最も重要な方針の一つです。
利回りは当然高い方が良いですが、あまり高い目標を立ててしまうと条件に見合う物件が見つからなくなってしまいますし、あまりに利回り重視だと空室率の高い地方の物件や借地権、事故物件などトリッキーな物件に引っかかってしまうこともありますので、現実的な利回りの目標を立てる必要があります。
なお、販売資料などに記載されている利回りは表面利回りです。
投資の実質的な利回りとなる実質利回りではありませんので、自分が求める実質利回りから必要となるおおよその表面利回りを算出しておくようにしましょう。
なお、物件の値引き交渉をしたり、リフォームによるバリューアップをすることで利回りは向上させることができます。
そのため物件を探す時の表面利回りの条件は本来の利回り目標よりも2-3%低く設定しておき広く情報収集することをおすすめします。
最後はやっぱり予算
物件の取得方針を立てるポイントとして最後はやはり予算です。
無い袖は振れないといいますし、予算によって購入できる物件は確実に制限されます。また融資を受ける場合は予算に融資額分を追加することになります。
融資の金額については、最悪のケースを想定して家賃収入が全く入ってこない場合でも半年くらいは返済を問題なく行うことができる金額を借りるようにしましょう。
例えば4,000万円の借り入れをする場合、返済期間や金利によりますがおおよその返済額は20万円くらいになることが多いです。
家賃収入が入ってこなくてもしばらくこの返済をすることが問題なければ4,000万円の融資を受ける想定で計画をすれば良いですし、さすがにちょっと厳しいという場合はリスクが過大になっているということですので、融資想定金額を下げるようにしましょう。
最初の1件目の投資であれば銀行の融資金額が少なかったり、最悪融資をしてくれないケースも考えられますので、自己資金が多めの投資を想定しておくのが無難です。
徐々に自分の投資手法を確立する
以上のような観点で自分の物件取得方針を決めます。
ここで取り上げたものは主なものですので、ほかにも検討すべき事項は多くありますが、はじめての投資であればあまり考えすぎてもしょうがないので、主なポイントで投資方針を決めて実際に物件を色々見た方が勉強になるでしょう。
物件を見る中で現実がわかり、投資方針を修正する必要が出てくることもありますので、まずは暫定でも方針を立ててみて物件を色々見てみると良いでしょう。
条件の良い物件は多くの投資家で競争になったり、個人に情報が出る前にプロ投資家が買ってしまうものです。
あまりに好条件の物件はまずないと思って、妥協すべき部分とこだわりたい部分を自分の中で決めていき、リフォームしてバリューアップするなど妥協した部分をどう補っていくのかを考えて、自分なりの投資手法を確立していくのが良いと思います。
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