不動産所得の確定申告と事業的規模と認められる基準

公開日:2015年7月17日 最終更新日: 2016年1月7日
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不動産投資をはじめると確定申告は必須になります。

確定申告は国にその年の所得を申告して、支払う税金額を確定させる申請のことで、その年の所得を翌年の2月16日から3月15日までの間に行わないといけません。

確定申告は自営業の人にとってはなじみ深いものですが、会社員の人は経験がなくとてもめんどうなものと考える人も多いと思います。

そこでここでは確定申告が必要になる理由と税法上の不動産所得の扱いなどを紹介していきたいと思います。

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確定申告が必要な人

そもそも不動産所得が入るとなぜ確定申告が必要なのでしょうか。

基本的に会社員の人の税金は給料から源泉徴収されて会社が代わりに支払ってくれていますが、会社員の人でも給料と退職金以外の収入が20万円以上ある人や、2か所以上から給料をもらっている人、年間給与が2,000万円を超える人は確定申告をしないといけないことになっています。

  • 給料と退職金以外の収入が20万円以上ある人
  • 2か所以上から給料をもらっている人
  • 年間給与が2,000万円を超える人
  • 同族会社の役員で、同族会社から貸付金の利子などの収入がある人
  • 災害減免法により源泉徴収の猶予を受けている人
  • 源泉徴収義務者でない人から給料をもらっている人
  • 退職所得が源泉徴収された金額より多い人

不動産投資をする場合、ほとんどの人が年間20万円以上の収入を得ることになると思いますので、基本的には確定申告が必要となります。


不動産所得の確定申告

  • 不動産所得は総合課税される
  • 所得税は累進課税で所得が増えるほど税率が上がる

不動産を貸したことで家賃収入を得た場合、税法上は不動産所得となります。

不動産所得は総合課税の対象となりますので、給与所得や事業所得、退職所得、山林所得、一時所得、雑所得などと合算され、課税所得に応じた所得税の税率がかかります。また住民税は一律10%の税率がかかります。

所得税と住民税をあわせた税率は所得に応じて、15%から55%となっており収入金額によって大きく税金が異なります。

給与所得などと合算することになるので、高給取りの人ほど不動産所得に対する税率は高くなりキャッシュフロー上は不利になります。

また不動産所得は家賃収入など得られた収入の総合計金額から必要経費を差し引いた金額が課税所得になります。

必要経費には管理費、修繕費のほかに固定資産税、都市計画税、減価償却費、借入金金利、保険料などがあります。経費が多くなるほど課税所得が圧縮され支払う税金は少なくなりますので、かかった経費はもれなく申告するようにしましょう。


事業的規模による税制優遇

上記が不動産所得の確定申告の基本ですが、不動産所得は賃貸経営が事業的規模かどうかで税務上の扱いが異なり、事業的規模で行われる不動産所得に対しては税制優遇があります。

  • 取壊し、除却費用の全額を必要経費に算入できる
  • 貸倒損失は回収不能となった年分の必要経費に算入できる
  • 事業専従者給与を経費とできる
  • 青色申告特別控除を最高65万円受けることができる

事業的規模と認められることで建物の取り壊しや除却費用などを全額必要経費にできるなど経費にできる費用の範囲が広がり、家族に支払った給与を経費とできたり、青色申告をした時の青色申告特別控除を最高65万円受けることができます。

経費の範囲、控除の金額がともに広がることになり、税務上はとてもメリットがありますので、不動産投資で成長していきたい人はまずこの事業的規模と認められるように拡大していくことになります。

不動産所得が事業的規模と認められるには「5棟10室基準」と呼ばれる規模をクリアしている必要があります。

5棟10室基準とは一戸建てで5棟、マンションやアパートの部屋数で10室のいずれかまたはそれに相当する規模の組み合わせの規模で賃貸経営をしていることで、以下の組み合わせの物件を所有しており賃貸していれば基準を満たしていると認められます。

■事業的規模と認められる物件数

マンション、アパートの部屋数 一戸建ての戸数
10室 0棟
8-9室 1棟
6-7室 2棟
4-5室 3棟
2-3室 4棟
0-1室 5棟



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