42条2項道路の意味と接道している物件への影響や問題

公開日:2015年9月9日 最終更新日: 2016年1月2日
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不動産会社や不動産投資をしている人と会話をすると、「2項道路」という言葉や「セットバック」という言葉を耳にすることがあると思います。

2項道路に接している土地は敷地をセットバックしないといけないんだよね。となんとなく意味が分かっている人は多いと思いますが、実際にどのような基準でセットバックして、土地の売買時にはどのような評価、注意点があるのかなど詳細まで理解している人はそう多くありません。

そこで本記事では42条2項道路の意味や接道している物件への影響などを紹介したいと思います。

なお、2項道路と似た意味の言葉で位置指定道路というものがありますが、こちらについては別の記事で詳しく紹介していますので、そちらを参考にしていただければと思います。

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42条2項道路の意味

  • 2項道路は幅員4m未満であっても、特定行政庁に建築基準法上の道路と認められた道
  • 2項道路に接している敷地は2項道路の中心線から2mセットバックすることを前提に建物を建設できる

2項道路とは
2項道路とは建築基準法第42条第2項の規定により定められた、建築基準法上認められた道路のことで、「42条第2項道路」「みなし道路」とも呼ばれます。

建築基準法上は原則幅員4m以上の道が「道路」と認められますが、都市計画区域および準都市計画区域内にある幅員4m未満の道で特定行政庁が指定したものについては「2項道路」として建築基準法上の道路と認められます。

これにより、建築基準法で定める建物を建築することが出来る敷地の要件である「幅員4m以上の道に2m以上接している」を満たしておらず建物の建築ができなかった敷地であっても建物を建築できるようになりました。

簡単に言うと、建築基準法で定める建築要件に満たない土地であっても、すでに立っている建物は違反とは言わないし、将来的に4mの道路を確保することを前提に、将来の建物の建築も可能にするものです。

2項道路が生まれた背景
2項道路が生まれた背景は、昭和25年に施行された建築基準法にあり、建築基準法では都市計画区域内に建物を建築するためには、幅員4m以上の道路に2m以上敷地が接道している必要がありました。

しかし、古くからある街の場合は1間半(約2.7m)または2間(約3.6m)4m未満の道がほとんどで、その道に接している敷地については既存不適格となり、建築許可が下りず建て替え不可の土地となってしまいます。

このような土地を救済するために、建築基準法第42条第2項の規定が作られ、本来建て替え不可の土地であっても敷地をセットバックし、将来的に幅員4mの道路を確保することで建物の建築を可能としました。

2項道路となる条件
2項道路として認められる条件は、建築基準法施行(昭和25年11月23日)または都市計画編入前にすでに建物が建築されていた道路の中で、特定行政庁が指定した道です。

42条2項には「現に建築物が建ち並んでいる」道を2項道路として認めるとありますが、実際に最終判断をするのは指定をする特定行政庁ですので、自治体によって判断が分かれます。

建築基準法施行時または都市計画区域に編入された時に、その道路に建物が2つ以上あれば2項道路と認める特定行政庁と、道の周りに建物があり街を形成していると判断される際に2項道路と認める自治体があります。

具体的に2項道路と認められているかどうかは役所にある地図で2項道路と記入されているかどうかを確認するのが確実で、役所の道路担当係、道路管理課などに確認をする必要があります。


2項道路に接道した敷地の建築要件

  • 2項道路の中心線から2mセットバック(後退)することで敷地内に建物を建築することができる
  • 道路の向かい側が川や岸の場合は向かい側の道路境界線から4m分セットバックする

敷地の建築条件
2項道路は建築基準法上、道路とみなされますので、2m以上接している土地は「敷地のセットバック」をすることを要件に建物を建築することができます。

セットバックとは道路の中心線から2m後退したところを道路との境界線とみなして敷地を下げることであり、道路の中心線から2mまでの部分は私有地でありながら道路とみなして、敷地にはみなさないことになります。なお、道路の反対側が川や岸の場合は道路の向かい側の境界線から4mのセットバックが必要になります。

2項道路に元々接していた敷地の建物を建て替える場合、セットバック分だけ敷地が狭くなりますので、建ぺい率や容積率の計算上の敷地も狭くなり、立てられる建物の床面積は狭くなる可能性があります。

また現実的には2項道路に接道する敷地の地主はそれぞれ建て替えのタイミングで敷地のセットバックを行うことになります。そのため2項道路の周りの土地はセットバック済みの土地とまだセットバックされていない土地が混在していることになり、道路の正確な中心線を把握するためにはセットバック当時の道路でなく、2項道路が指定された当時の地図等から道路の中心線を考える必要があります。


2項道路に接道した敷地の評価

  • 2項道路に面しているからという理由だけで物件の評価が下がることはない
  • 土地の使い勝手が悪い、将来性が低いなどの理由で評価が落ちることはある

売買時の評価
2項道路に接した土地を売買する際に気になるのがその敷地の評価です。

基本的に2項道路に面しているからという点を直接的な理由として物件の評価が変わることはありませんが、2項道路に面している土地の回りは狭い道路が多いことや、セットバックにより活用できる土地が少なくなるという点で建て替え上の制限があり物件の評価は落ちることになります。

詳しくは後ほど述べていますが、2項道路の周りには建て替えするのにセットバックをしない地主がいるなど問題があり、そのような場合将来的に道幅が広くなる見込みのない土地となり、土地の将来性の面から評価は落とさざるを得ません。そのような点は不動産会社を通してきちんと確認するようにしておきたいです。

なお2項道路に接した土地を売買する際、セットバックが必要な土地が含まれる場合も広告や売買契約書に記載される土地面積にはセットバック必要分も含まれ、実際に活用できる土地の面積はもっと少なくなります。

ただし、広告にはセットバックが必要な旨を記載しなければいけないことになっており、セットバックが必要な部分の面積が土地面積の10%以上の場合にはその面積も記載しなければいけないことになっています。

物件を購入して建て替えも視野に入れている場合、敷地面積はセットバックを考慮した敷地でどのように活用できるか、どれくらいの収益が見込めるか想定する必要があります。

またセットバックが必要となる土地とわかっていれば対応も取りやすいですが、売主の法令意識が低いと幅員4m未満の道路と接している敷地でありながら2項道路の申請がされていないケースがあり、その場合は建て替えにあたって2項道路の敷地かどうか判断ができないケースもあります。

2項道路と認められないと再建築不可となりますので、そのような物件は見送るのが賢明です。物件を取得するにあたって建築物が合法状態で建築されているかどうか、また接道している道路の状態や物件との接道状況は不動産投資家としてチェックする基本ポイントと言えるでしょう。

所有時(固定資産税上)の評価
また2項道路はあくまで建築基準法上の道路であり、土地の所有権は各地主にある私道になります。

そのため土地の所有にかかる固定資産税は二項道路部分の土地も含めて面積が計算されて毎年課税されることになります。

建築する時の敷地に含まれず売買時の土地面積にも含まれませんが、保有にあたってコストはセットバック分だけ高くなることになりますので、取得にあたっては注意が必要です。

なお、土地の所有者が役所の固定資産税課税窓口で、セットバック分の面積の固定資産税を免除申請することで固定資産税の課税を非課税とすることができます。

ただしこの場合には自分の敷地利用面積が減少していることの証明をしないといけないので、土地の分筆を行い道路境界線を確定させないといけません。

新たにセットバックが必要となる土地を取得する場合には不動産会社が申請してくれることもありますが、不動産会社が対応してくれなかった場合や、これまで申請していなかった土地に新たに免除申請をする場合は手続きが必要となり、それなりの手間と時間がかかりますので、管轄の役所に確認することをおすすめします。


2項道路の調査方法

  • 2項道路を調査するには対象道路の所在地の役所の道路管轄部門へ問い合わせをする
  • 周辺の土地の権利関係は法務局で登記事項照明、公図、地積測量図を入手する

2項道路の調査方法
上述した通り、敷地の売買時には2項道路との接道状況、セットバック状況などを確認する必要があり、セットバックが必要な道路の中心線を知るためにも2項道路指定時の状況を正確に知る必要があります。道路自体の状況を役所で確認し、周辺の土地の権利関係を法務局で確認をします。

2項道路を調査するには対象道路の所在地の役所へ行って、道路管轄部門へ問い合わせをすることでできます。

役所では対象道路が2項道路かどうか、役所側で把握している道路の幅員、また対象の敷地で建築が可能かどうかです。

また法務局でも道路部分の登記事項照明、公図、地積測量図を入手することで、セットバックの基準となる道路中心線を確認することができますし、周辺の土地所有者と立会が必要な場合にも周辺土地所有者が誰なのか確認することができます。


2項道路の問題点

  • セットバックをしても道が広げられないケースがある
  • セットバックすらしないで建て替えを続ける土地所有者もいる

道が広げられない
2項道路は建築基準法で定められた4mの道路に接している場所に建築物を建てるという制度に対して幅員の狭い道に建っている建物が多いという当時の現況を鑑みて作られた救済措置です。

そのため、建て替え時には幅員4mとなるようにセットバックをすることが必要として、いずれはすべての建物が幅員4mの道路と接している状況となることを想定していました。

しかし全ての建て替えが完了する期限は設けていませんし、建て替えの際に建築物を後退させる義務はあっても、セットバック部分に塀や壁がある場合にそれらを撤去しないといけない義務はないので、セットバック部分に建築物が残ることになり、結果として道は広がらず制度本来の目的が達成できているとはいいがたい状況です。

現実的には幅員4m未満の道路は日本に数多くありますし、セットバックにより敷地が削られることも嫌って建て替えでなく改修、改築によって実質的な建て替えを行っている地主の人も多くいます。

そのため道路が広がらずに消防車が入れない、自動車の通行が不便なままで、また密集した木造住宅地も解消されずに防災面からは何かしらの施策が必要と言われています。

土地の所有者にしても前の土地が広くなって利便性が高まった方が資産性も高まると考えることもできますが、それには周辺の地主が全員セットバックすることが条件となり、それができないとただ自分の敷地を手放しただけで終わってしまいます。

ある程度強制力を持ってセットバックをさせる法制度ができれば少しはこの状況が変わるのでしょうが、セットバックを行うにはそれなりの費用がかかりますので、すべてを自治体で負担するのは難しく、各土地所有者で経済状況が違うのですべての人がすぐに実施できるというものではありません。

何より土地の所有者が居住するためだけに土地を持っているのであれば住む分には不便なく、むしろ道が狭い方が車通りも少なく安全と考えている人もいるくらいで、セットバックしないことで本当に困っている住民はごくわずかです。

議員にしてもあまり利益にならない話なので、積極的に制度改正の動きはなく、行うことで短中期的には得する人が少ないというのがセットバックが進まない本質的な理由かもしれません。


セットバック後の土地の扱い・活用

  • セットバック後の土地の扱いを決めた法律はない
  • 自治体によって寄付、使用承諾、自己管理など対応が分かれる
  • 選択肢を用意するのが自治体、選択するのは土地所有者

セットバック後の土地の扱い
セットバックしたはいいけど、何の舗装もせず放置すれば良いのか、何かものを設置して良いものなのか、セットバック後の土地をどのように扱えば良いのか疑問に思う人も多いと思います。

基本的にセットバック後の土地をどのように扱いなさいという風に決められた法律はなく、何か強制されることはなく、基本的には道として使用できれば自由に扱って問題ありません。

無舗装のまま放置している人もいますし、自転車やバイク置場として使用している人もいますし、花壇を置いている人もいます。

前面の道路が公道の場合、自治体によって無償寄付、有償寄付、無償使用承諾、自己管理のいずれかを地主が選択するように定めている自治体が多くあります。

無償寄付は、その名の通り対価を求めずセットバック分の土地を自治体に譲渡することになり、所有権が自治体に移動して維持管理費用や整備費用などについても寄付以降は自治体が負担することになります。

有償寄付は対価を自治体からもらって土地の譲渡を行います。対価がもらえれば当然嬉しいですが、買取価格は高額は望めず抑えられた金額が提示されます。

上述した通り、セットバック後の土地にも固定資産税がかかりますので、無駄に税金を支払うくらいなら自治体に譲渡してその後の整備をしてもらった方が有益という考え方の人が寄付に応じています。

無償使用承諾はセットバック分の土地の所有権は地主が保有したまま、道路の使用権を自治体に与えるもので、維持管理や整備は自治体が行うことになります。またセットバック分の土地に対する固定資産税や都市計画税についても非課税となります。

土地所有者には収入はありませんが、維持管理費用や固定資産税を節約することができ、所有権も残しておけます。

寄付や無償譲渡に際しては塀の撤去費用や植樹の移植費用など何かしらの助成金が出る自治体もありますので、管轄の自治体の制度を確認してみると良いでしょう。

自己管理は私有地のまま、所有権も地主に残し、維持管理についても自分で行う管理方法です。この場合、土地のセットバック分の固定資産税や都市計画税は毎年課税されることになりますが、自身で測量や分筆登記をすることで固定資産税を非課税とすることができます。

なお前面の道路が私道の場合には自治体による買取や寄付のしくみはなく、基本的には私有地としてセットバック分の土地も自己管理していくしかないです。



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