物件の積算評価の意味や算出方法と融資との関係

公開日:2015年9月6日
最終更新日: 2016年1月4日

不動産投資家にとって物件の価値は「いくら稼ぐか」が重要となりますので、利回りなど収益力によって評価して物件を購入するか決めていると思います。

しかし銀行が物件を評価する際には「積算評価」という収益力以外の面を見て評価することになるため、不動産投資家は物件の積算評価も意識して物件選びをしていかないといけません。

融資を受ける上では理解が必須の考え方ですので、ここでは物件の積算評価の意味や算出方法、融資を受ける際の関係などについて紹介します。

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積算評価の意味と金融機関の評価

  • 積算評価は物件の担保的価値に着目した評価方法
  • おもに金融機関の融資審査で目安として利用される

積算評価とは

積算評価とは、不動産の価値を算出する方法の一つで、その物件の担保的価値のことです。金融機関が物件の担保としての価値を測る目安として使用され、融資の結果や融資可能金額に関わります。

金融機関の評価基準として使われるのは、金融機関が物件の担保価値を重視していて、「もし貸したお金が返してもらえなかった時に担保としている物件はいくらになるものなのか」をチェックするからです。不動産を使って稼ぐ投資家に対して、その投資家が債務不履行になった時にその物件を現金化して資金回収するのが銀行ですので、目的や立ち位置の違いから重視する評価基準も異なります。

なお、業界用語で積算価格の高い物件を「積算が出る」などと表現することがあります。
(例:もうちょっと積算が出てれば融資審査も下りたんだろうけどね)


積算評価と収益評価

積算評価と収益評価
不動産の評価基準には積算評価のほかに収益評価があり、収益評価によって算出された物件の価格を収益価格といいます。

収益価格とは不動産が将来生み出すキャッシュ(収益)を現在価値にして算出した価格のことで、その名の通り物件の収益力に着目して算出されたものです。

収益価格は投資家目線で物件の価格を算出し、提示された価格が適正であるかどうかを判断するための指標として用いられます。また一部の都市銀行では積算評価だけでなく、物件の収益価格も融資審査の基準として担保力、収益力の両面で審査することもあります。

なお、積算評価は原価法という物件を再構築するためにはどれくらいの費用がかかるかという考えで算出され、収益評価は収益還元法という物件から将来発生する収益を現在価値に割り戻して算出がされます。

このように積算評価と収益評価は算出の考え方も目的も異なりますので、まったく別物として捉えた方が良く、積算評価が高いからといって物件の収益力が高いというわけではありません。

また実勢価格も積算評価、収益評価にひっぱられはするものの、完全に連動するわけではなく積算価格、収益価格はあくまで参考値となります。


積算評価の融資への影響

積算評価の融資への影響
積算評価は金融機関が融資をする際の目安として使用されますので、評価が高いほど多くの融資を受けることができます。銀行は積算評価の7割などを融資限度額として決めており、積算評価に応じた融資をしています。

積算評価の何割を融資限度額とするかは各金融機関ごとに異なり、また経済情勢やその時の金融機関、支店の融資姿勢によっても変わってきます。

また借主の属性が良かったり、金融機関と信頼関係を築くことで積算評価以上の融資を引き出すことも現実的には可能になっています。

さらに都市銀行などでは収益還元法による評価を両方見て融資金額を決めているので、単純に積算評価だけを見ていくら融資を受けるか正確に知ることは難しく、あくまで融資の引きやすさ、どれくらい融資を受けることができるかの目安となります。


積算価格の算出方法

  • 物件の積算価格=土地の積算価格+建物の積算価格


積算価格の算出方法

積算価格の算出方法
それでは具体的にどのような方法で積算評価による価格を算出するかを見ていきましょう。積算価格は土地と建物の積算価格をそれぞれ算出し、合算することで算出することができます。

不動産取引とは土地と建物の取引にほかなりませんので、土地と建物の価格をそれぞれ算出して合計することで物件の価格・価値を算出するのですね。

土地と建物では積算価格の評価方法が異なりますので、それぞれ計算方法を見ていきましょう。


土地の積算評価の計算方法

  • 土地の積算価格:路線価×土地面積(平米)×掛目
  • 土地の形状や用途地域に応じた掛目をかける
  • 区分所有の場合は土地の持ち分に応じて価格を算出する

土地の積算評価の計算方法

土地の積算評価の計算方法
まずは土地の積算評価の計算方法です。

土地の積算価格は土地の路線価に敷地面積をかけることで算出することができます。また算出した金額は土地の形状や用途地域などによって設定された掛目をかけて調整します。

路線価は相続税を計算する時に用いられる土地の価格で、国税庁が毎年1月1日に公表しており、公示価格の80%の価格となっています。公示価格と実勢価格はおおむね同じになるはずですので、実勢価格に対しても約80%の価格となります。

土地の価格の種類や関係、また路線価の調べ方は別の記事で紹介していますので、こちらを参考にしていただければと思います。

  • 地価の動向の重要性と調べ方

  • 路線価は千円単位で公表されていますので、実際に計算をする際には千をかけてから土地面積とかけあわせます。

    仮に10万円(100千円)の路線価で100平米の土地であれば、

    10万円×100=1,000万円
    となり、1,000万円が土地の基本の価格になります。


    掛目による価格調整

    掛目による価格調整
    算出した土地の価格は土地の特性により設定された掛目をかけることにより価格の調整を行います。

    掛目を設定するのは用途地域と土地の形状によってです。

    まず用途地域による価格調整はその土地に指定されている用途地域があれば以下の掛目をかけます。

    用途地域による掛目

    用途地域 掛目
    商業地域 +10%
    第一種住居地域
    第二種住居地域
    準住居地
    ±ゼロ
    第一種中高層住居専用地域
    第二種中高層住居専用地域
    -10%
    第一種低層住居専用地域
    第二種低層住居専用地
    -20%
    準工業地域
    工業地域
    -30%
    工業専用地域 住居建設不可のため対象外

    これらの掛目をかけることにより、用途の制限による土地の価値の広がりや制約を価格に反映させます。商業地域の土地が最も土地の利用価値が高くなり、普通の住居地域はプラスもマイナスもなく、中高層用住居専用地域や低層住居専用地域など建設する住居に制限がある地域はマイナス評価となり、工業地域はさらに大きなマイナスとなります。


    土地の形状による価格調整

    土地の形状による価格調整
    次に土地の形状による価格の調整を行います。こちらも土地の形状によって建物の建設や使用収益に制約が出る場合にそれを価格に反映させます。

    一般的には土地が道に接している面(接道面)が広いほど好まれ価格も高くなり、最も好まれるのは接道面が2面以上ある正方形の土地です。接道面が狭い土地ほど評価が低くなり、周囲を他の土地に囲まれ引き込み道路によって道と接しているいわゆる「旗地」はかなり評価が低くなります。

    接道の向きは南向きだと住居を建てた際に採光面を南に取れるため、接道の向きが南、東、西、北の順に評価が高くなります。

    また不整形、急傾斜地、広大地などの特殊な条件の土地も評価が大幅に下がります。

    土地の形状は定量的な基準を立てるのは難しいので明確な基準はありませんが、上述した土地の形状や接道状況によって+30%から-50%程度の掛目を金融機関ごとに設定して評価しています。

    路線価をもとにした土地の基本的価格に対して、これらの掛目をかけることで土地の積算価格が算出されます。


    区分所有の場合の算出方法

    区分所有の場合の算出方法
    マンションやアパートなどで区分所有の物件を購入する場合は、各区分所有者の土地の持ち分が決められていますので、算出した土地の価格を物件の敷地面積に対する区分所有の持ち分割合をかけることで区分所有の土地の積算評価額を算出することができます。

    物件全体の土地の積算評価が1億円で区分所有者の土地の持ち分が20万分の1,000だったとすると、
    1億円×1,000÷200,000=50万円となり、
    区分所有の人の土地の積算評価額は50万円となります。

    最も区分所有の場合は物件価格が安く、融資金額も少なくなるため金融機関は融資にあまり積極的ではありません。積算評価が高かったとしても物件価格の安さから融資を受けられない可能性が高くなるという点は理解しておいた方が良いでしょう。


    建物の積算評価の計算方法

    • 建物の積算価格:再調達原価×延べ床面積×(残存年数/耐用年数)

    建物の積算評価の計算方法

    建物の積算評価の計算方法
    続いて建物の積算価格の算出方法です。

    建物の積算評価は建物を再構築した場合に新たにかかる費用(再調達原価)を求めるという考え方により算出し、そこに築年数経過による価値の経年劣化を加味して計算することになります。築年数による経年劣化の金額は再構築した建物の価格を耐用年数で割ることで1年ごとの経年劣化の額を算出し、築年数に応じた金額を差し引きます。築年数が耐用年数を超えている場合は建物の価値はゼロになります。

    築年数の古い中古物件に投資すると融資が受けられないので注意と言われるのは耐用年数を超えると建物の積算評価がゼロになるためです。

  • 中古アパートに投資するメリットや注意点

  • 具体的な計算式にすると「再調達原価×延べ床面積×(残存年数/耐用年数)」により算出します。

    再調達原価の計算方法

    再調達原価の計算方法
    再調達原価は建物を建てる時にかかる構造ごとの平米単価のことで、RC造なら20万円、木造なら15万円などです。

    構造ごとの平米単価は銀行ごとに若干違いがありますが、目安としてそれぞれ以下の金額で計算されているようです。銀行ごとに異なりますので、大体前後1,2万くらいの違いがあるようです。

    構造ごとの再調達原価(平米単価)

    • RC造  :20万
    • 鉄骨造 :17万
    • 軽量鉄骨:15万
    • 木造  :15万

    これらの単価に建物の延べ床面積をかけることでその物件を新築時の状態で再調達する場合の原価を算出することができます。

    築年数による価格調整

    築年数による価格調整
    中古物件の場合は築年数による価格調整をする必要があり、各物件の構造の耐用年数に対して築年数がどれだけ経過しているかを単純割りで割り引きます。

    たとえば鉄骨造の建物の耐用年数は34年ですので、築17年の物件だと17/34=2分の1ですので、建物の再調達価格を2分の1にしたものが建物の積算評価価格となります。

    構造ごとの法定耐用年数は以下の通りです。

    構造ごとの耐用年数

    • RC造  :47年
    • 鉄骨造 :34年
    • 軽量鉄骨:22年
    • 木造  :22年

    築20年で延べ床面積100平米のRC造の物件があったとすると、その物件の建物の積算評価価格は、

    再調達価格=20万×100=2,000万円
    残存年数=47年-20年=27年

    2,000万円×27年/47年=1149万円
    で1,149万円が建物の積算評価となります。

    以上が建物の積算評価の算出方法です。


    売値以上の積算評価となることはまれ

    売値以上の積算評価となることはまれ
    このようにして算出した建物の積算評価と土地の積算評価を合計することで物件の積算評価価格が算出されます。算出した積算評価価格が物件の売値よりも高いと資産性が高い物件と言われます。

    ただしそのような資産性の高い物件というのは少なく、流通する物件の1割程度です。多くは積算評価よりも売値が高い物件となっています。

    積算評価は一般的かつ保守的な考え方ですので、自分が売主の立場になるとそのような保守的な価格設定で売り出すことはないとわかるでしょう。収益還元法などの方が高い価格が出ますので、そちらの価格をもとにしたり、単純に自分の希望売却価格によって売値を決めて売りに出している売主さんが多くなっています。

    そのため積算評価はあくまで融資が受けられるか、また融資が受けられる金額の目安を測るための指標として使用するのが良いでしょう。


    積算評価に惑わされない

    • 積算評価と物件の収益力は関係ない

    積算評価を考える上で重要なのは、積算評価と物件の収益力は関係ないという点です。積算評価が高いことによるプラスの点は、融資が受けやすくなることと売却価格が高くなりやすいという点です。

    融資を受けやすいと言う点では積算評価は高いに越したことはありません。また融資の受けやすさから物件の使い勝手が良いので、一般的には積算評価が高い物件の方が高く売却することが可能になります。

    しかしながら不動産投資の収入の大部分を占めるのは家賃収入であり、積算評価ありきで物件を評価するのは本末転倒です。融資を利用しない現金投資の人にとっては融資が受けやすいといっても何の意味もないことですからね。

    まずはその物件の収益性を検証して、入ってくる家賃収入などを加味して想定する投資期間でいつ投資金額が回収できるのか、また最終的な投資の利回りはどれくらいになるのかを検討した上で物件を購入するかどうかを決めるのが王道です。

    この考えのプロセスの中には物件の積算評価は全く関係ありませんし、積算評価に惑わされずに積算評価が高いからと言って取引価格を高く設定している物件であれば収益性の面から妥当な金額をオファーして価格交渉に臨むようにしましょう。



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