投資資金の回収期間を示すPB(資金回収期間)の算出式と分析方法
不動産投資は投資活動ですので、投下した自己資金がどれくらいで回収できるかという観点で投資の評価をすることもあります。そのような時に活用できる指標がPB(資金回収期間)です。
投資した資金がおおよそどれくらいの期間で回収できるかという非常にシンプルな考え方で、計算式も簡単ですのでぜひ頭に入れておきましょう。
PB(資金回収期間)の意味
- PB(資金回収期間)は投下した自己資金がおおよそ何年で回収できるかを示した指標
- 実際の回収期間は年間のキャッシュフローの変化によりぶれが生じる
PBとは
PB(資金回収期間)は、毎年発生するキャッシュフローによっておおよそ何年間で投下した自己資金が回収することができるかを示した指標です。指数は「何年」という形で算出されるので、「PBは○年となりますので、資金回収した○年後のタイミングで物件を売って新しい物件を買いましょう。」などの形で使用されます。
資金を回収する期間ですので、短ければ短いほど早く資金を回収できるという意味で優秀で効率的と判断されます。ただしPBが短い場合はレバレッジをかけて自己資金を減らしているという可能性もありますので、安全性は低くなっている可能性があります。
PBを評価する際にはあわせて債務比率やDCRなど安全性に関する指標もチェックして投資案件を総合的に評価する必要があります。
一般的にはPBは5年から10年くらいとなることが多く、10年以上の場合は効率性が悪く、逆に5年以下の場合には安全性を犠牲にしている可能性があると判断できます。
PBの算出式
PB(資金回収期間)は、「自己資金÷キャッシュフロー」により算出することができます。
- PB=自己資金÷キャッシュフロー
4,000万円の物件に対して自己資金を500万円投入して購入し、年間80万円のキャッシュフローを得ているという場合は、PBは6.25年ということになります。
この時のキャッシュフローは固定資産税や都市計画税などを差し引いた税引き後のキャッシュフローを使うとより実態に即して正確な値を算出することができますが、購入前のシミュレーションの場合、これらの税金を計算するのが難しい場合も多いので、その場合は税引き前のキャッシュフローを使用します。
なお、投下した自己資金に対してどのくらいの割合のキャッシュフローが発生するかを示すCCRやROIとは逆数の関係にあります。
PBの分析方法
PBは何年が良いのか
実際に物件取得をする際にPBを算出する場合、どれくらいの年数であれば妥当なのか考えると悩むと思います。上述した通りおおよその目安は5年から10年というところですが、投資スタイルによっても異なりますし、計算に使ったキャッシュフローが税引き前か後かでも大きく値が変わりますので、PBは何年が良いのかは案件次第というところが実情です。
現金で投資をしている場合は自己資金比率が100%となりますので、回収までの期間は長くなります。一方でローンを活用している場合には物件価格に対する自己資金の割合が低くなるので多少利回りが低くても比較的短い期間で回収することができます。
現金投資で安全にいきたいという人であればPBが10年以上でも問題ない場合もありますし、その人の投資スタンスによって目標となるPBも変わっていくでしょう。
投下した自己資金をキャッシュフローベースで回収するということは、もう一度同じ価格帯の物件を取得することも可能になります。そのため同程度の価格の物件で展開していきたいという人であれば次の物件を購入する資金ができるまでの期間ととらえることもできますので、事業成長上の目標とあわせてPBの目標値を設定するのも良いかもしれません。
PBを増減させる方法
PBを短くしたい場合にはキャッシュフローを増やすか自己資金の割合を低くすることです。
キャッシュフローを増やすには収入を増やすか経費を減らす活動をするのが王道ですが、キャッシュフローに含まれない経費である減価償却費を増やして税金を減らしたり、融資の返済期間を長く取って年間返済額を減らすことでもキャッシュフローを増やすことができます。
自己資金の割合を低くするにはローンの金額を増やして必要な自己資金を減らします。
このように方法はいくつかありますが、現金投資の人にはローンを活用した方法はできませんし、どの方法がとれるのかはそれぞれの状況によると思います。
PBの算出式や構成するキャッシュフローと自己資金をどうすれば変化させられるかを理解することで、自分の目標にあった投資を実現することが可能になります。
PBはキャッシュフローが絡んで非常に重要ですので、勝ち組不動産投資家の仲間入りをするためにはぜひきちんと理解をしてコントロールできるようになりたいですね。
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